【おすすめの本】 『科学技術とジェンダー EUの女性科学技術者政策』 


ヘルガ・リュープザーメン=ヴァイクマン:編著, 小川 眞里子:訳, 飯島 亜衣:訳
タイトル:『科学技術とジェンダー EUの女性科学技術者政策』
出版:明石書店 
[FResHU Library書籍番号②-22]

本書は、2002年に欧州委員会が発足した「産業界における女性研究者」専門家グループが纏めた報告書を翻訳したものです。元の報告書のタイトルは、”Women In Industrial Research” となっていますが、国の研究機関、大学の研究者についても触れられているため、このタイトル「科学技術とジェンダー:EU の女性科学者政策」は、その内容をよく表しています。本書は、コンパクトな量ながら、EUの科学者の現状及び将来に向けた施策について、多くの調査データに基づいて議論されています。EU内でも大きく異なる各国の状況を比較し、記述されています。

また、単に現象を分析することに留まらず、全六章のうちの一章を割き、第二章で「なぜ科学と技術開発で女性に注目するのか」と、このテーマを扱う意義を述べた上で、議論を展開しています。本書を貫くキーワードは、多様性と競争力です。EUの競争力を確保するには、多様性が必要という主張です。「不平等は可能性の芽を枯らし、卓越性は多様性を必要とするからである。」と記述があります。

当支援室のテーマでもある、「なぜ女性研究者支援が話題となっているか」「何が支援になるのか」を考える上で欧州の例として参考になると思います。

内容はやや専門的ですが、研究開発に関わるマネージメント階層の方々だけでなく、研究組織のあり方について考えるきっかけを得るためにも男女問わず各分野の研究者の方々にもお奨めします。

May 1, 2008、小川 健太(女性研究者支援)